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【WMSJ × KCJ】企業内戦略担当者の重要性

KCJ

企業内戦略担当者の重要性
博報堂 ストラテジックプラニングスーパーバイザー 田中 伸昌

ケロッグ・クラブ・オブ・ジャパン(http://kelloggbiz.jp/club/

 

はじめに

WMSJ2015は、マーケティングの様々なテーマについて知見を共有頂けるまたとない機会である。ただ、中小企業も含めると、少なくない企業が、「土台となる経営戦略をしっかりと立案した上でマーケティング戦略を立案・実行する」という基礎的な部分で躓くこともあるのではないかとも思う。そうした状況の打破には、企業内における戦略担当者の存在が重要になる。読者の皆様の多くが、「そんな当たり前のこと」と思われるのを承知の上で、あえてこの点を再確認してみたい。

課題と感じること

マーケティング戦略の立案・実行において、それが経営戦略からの落とし込みになっていないために、マーケティング戦略がオペレーションなど他の機能の戦略と不整合になり、企業全体として機能不全となってしまうことがある。教科書的で恐縮だが、「経営戦略」や「事業モデル」のある程度の磨き込みが出発点でなくてはならないということを、マーケティングの現場で痛感されている方も多いのではないだろうか。

では、そうなってしまう原因は何かといえば、そもそも経営戦略が十分に磨きこまれていない、もしくは、磨きこまれた経営戦略があったとしても現場に理解され落とし込まれていない、という2点に集約されるだろう。「経営戦略」というとき、企業の各機能やバリューチェーンを俯瞰した、統合的、整合的なシステムとして差別化された戦略を、必ずしも描き切れていない場合がある。また、そうした戦略を例え経営コンサルティングファーム等と描いたとしても、現場への落とし込みに苦心しているという実例は多い。

解決の方向性

解決の方向性の一つは、社内の戦略担当者となるキーマンのさらなる育成・獲得だろう。その戦略担当者は、マーケティングを始め、企業の各機能を俯瞰した上でシステムとして差別化された経営戦略の立案と、各現場への橋渡し、落とし込みを行う。また、「今」の戦略だけでなく、「未来」におけるビジネスデザインの立案にもコミットする。
そうした役割は、経営企画部長でも、マーケティング部長でも、社内コンサルタントでも、タイトルに関らず担って良いはずだ。ただ、そのミッションが明確になっていることが重要だろう。戦略担当者は、インパクトを最大化するために、堅牢なロジックに強みのある経営コンサルティングファームや、未来の生活者インサイトの発見に定評のある、デザインファーム、マーケティング・サービス企業など、外部のリソースを活用することもできる。ただ、場合によっては、経営コンサルティングファームはフィーが高すぎたり、デザインファームやマーケティング・サービス企業はカバー領域が不足したりすることもあるかもしれない。サービス提供側には、視野の広い戦略的な知見をリーズナブルに提供するようなサービスも求められているのではないだろうか。

博報堂 ストラテジックプラニングスーパーバイザー 田中 伸昌