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【WMSJ × KCJ】スピーカー数人の紹介と見どころ

KCJ

スピーカー数人の紹介と見どころ
立命館大学大学院経営管理研究科 教授/副研究科長 鳥山正博

ケロッグ・クラブ・オブ・ジャパン(http://kelloggbiz.jp/club/

 

昨年のWMSはマーケティングの大御所の揃い踏みで超豪華としか言いようの無いものであった。ただし折角来日した世界的なマーケティング学者の話をじっくりと聞く時間配分にはなっていない、世の中の一番の関心事に十分に答えていない、という惜しい点もあったのだが、今年はその問題は解決しているようである。

今年はインタラクティブセッションというのを設けスピーカー一人ひとりの話をじっくり聞くことが期待出来る。とりわけ、今回のイノベーションやデジタルマーケティングという世の中の関心のど真ん中のテーマを扱うところ、そこにシフトした講師陣に私は着目している。この軌道修正力には期待が高まる。

今回何人か居る初登場のスピーカーのうち私が知る3人の簡単な紹介と私が見どころと期待する点をここで述べたい。

ロブ・ウォルコット

《紹介》
私が監訳した「社内起業成長戦略」の著者であり、KIN(ケロッグイノベーションネットワーク)を立ち上げた人物である。今やKINはKIN Globalとして世界各地で開催されるようになり、日本でもJIN(ジャパンイノベーションネットワーク)が立ち上がるなど、イノベーションの世界にイノベーションをもたらしている。KINのアプローチの特色は大企業・大組織の中のイノベーションに取り組んでいることと、大学という場をうまく使うことで何もしなければ繋がることの無い各社・各界のイノベーションを繋げ相互触発させているところである。

《期待》
私が監訳した2010年頃から後、KINは急速にグローバルに展開し、産業界以外にも範囲を広げてきている。それらの多様な成果自体も非常に興味深いし、それだけ幅を広げた結果、最終的にどんな本質にたどり着いたか、にも興味がある。また、KINの焦点は大企業によるイノベーションだが、えてして外部から見えないことが多い。どういう運営をすると拡大再生産がなされるような相互触発が起こるのか、そのための工夫なども期待するところである。

モハン・ソーニー

《紹介》
ソーニー教授にはじめて出会ったのは1999年にケロッグのエグゼクティブプログラムのインターネットについての講座であった。講義では頭の回転の速さと見事な言葉の決め技に圧倒された憶えがある。当時はインターネットがビジネスをどう変えるかに関する世界的な新進気鋭の論客でありダボス会議などでの活躍とコンサルタントや社外役員として驚くほど多くの会社と関わりを持っていたことが印象に残っている。以来テクノロジーマーケティング、ビジネスイノベーション、新メディア等の論客として世界的に活躍している。6冊の著書があるが、いずれもテクノロジーが経営をどう変えるかというのが通底したテーマであり、新時代にどう考えるべきかを切れ味の良いキーワードで語るものだ。モハンもKINの主要メンバーの一人である。

《期待》
この人の真骨頂は人を圧倒する言葉の力である。文章も悪くないが講演の方が圧倒的なパワーを感じる。また抽象化能力や言葉選びのセンスやレトリックも抜群なので、通訳を通してではなく、なるべくダイレクトに英語で聴くことをお勧めしたい。内容的にはIoTとAIがどんなビジネスイノベーションをもたらすと論陣を張ってくるがとても楽しみである。

アンディ・ゾルツナーズ

《紹介》
1976年からケロッグで教鞭を執り、1983年に同僚のシンハ教授とZSアソシエーツという営業戦略に特化したコンサルティング会社ZSアソシエーツを設立した。今では北米・ヨーロッパ・アジアに20のオフィスと2400人を抱えるグローバルなマーケティング・営業に特化したコンサルティング会社だが、私が在学していた頃(80年代後半)は僅か十数人で大学近隣の小さなオフィスに居たのを憶えているが、とても現在の隆盛は想像できなかった。もともと数理的なモデリングが専門であり、そのアプローチで科学的マインドの薄かった営業の世界へ打って出たわけだが、今では押しも押されもせぬ世界企業である。

《期待》
各時代のテクノロジーで入手可能な数字を分析したりモデル化したりすることでイノベーションを起こしてきたアンディが、IoTやクラウドコンピューティングにより爆発的に取れるデータが増えつつある今、そのデータ活用はどういう姿になってゆくと考えているのか、営業管理の未来はどうなると考えているのか、を是非聞いてみたいと思う。

私が知る3人を紹介させていただいた。彼らと他の登壇者とのインタラクションも楽しみである。

立命館大学大学院経営管理研究科
教授/副研究科長 鳥山正博